■2004年10月7日
コンサートに来て頂いた方、本当にありがとうございました。
賛否両論、いろんなメールをいただきましたが、全て快く受け取らせて頂きました。
スクリーンに映像があるとどちらを観ていいのかわからなくなる、との意見が
3年前と同様多かったのですが、今回のは250インチの大きなテレビで
世界の車窓を観て頂き、それに生演奏付きという企画ですので...
でも、私を含め旅に出たいと思った方もたくさんいらっしゃって、
大変うれしく思います。
さて、先日とても素敵なメールをいただきました。
許可をいただきましたので、ここに載せさせて頂きます。
名前は仮名にさせて頂いています。
今年の最初に自閉症の子供が主人公のテレビドラマ「光とともに」の
音楽を担当しました。
プロデューサーとの打ち合わせでもいろいろと自閉症のことを聞いたりした。
それが音楽にどう影響したのかはここでは割愛しますけれど、それをも
全部包み込めるものを書いたつもりでした。
でも結局ドラマでは使ってもらえませんでしたけれど...
まだまだ、ということなんでしょうか。
■溝口さんは、障害児ってどうして生まれてくると思いますか?
科学的、物理的にたくさんの原因があるのでしょうけど
私は、その子が生まれる前にみんなに望まれて、
お願いされて生まれてくるのではないかなって思うんです。
いわゆる魂同士の約束といいますか…
私は今、小学校の非常勤講師をしています。
私が勤めている学校に自閉症の女の子が通っています。
先日、彼女の専任の先生が年休を取ったので
クラスをもたない私が2日間だけのミニ先生をしました。
彼女は9歳で、言葉も色も数もほとんど理解できません。
わずかに覚えた言葉も、文では理解できず単語での会話になります。
「ちぃ−ちゃん、(仮名です)座る」
「ちぃ−ちゃん、外、行く」
「えんぴつ、しまう」
例えが悪いですが、まるで飼い犬に話かけてるみたいで
だんだん悲しくなりました。
でも、時間を二人で過ごして気付いたことがありました。
彼女はけして人を傷つけません。誰かと競争もしません。
自分を責めたりしません。
コミュニケーションの点で彼女も苦しんでるかもしれませんが、
すでに充ち足りた満足した目をしています。
もし彼女が歌などを覚えることができるなら、いつでもどこでも鼻歌を
歌っているような…そんな目です。
私にはそう見えます。彼女がそこにいるというだけで私は何かを感じました。
私のとなりでぬりえに没頭する彼女を見て、涙が溢れました。
誰に対しても、自分というものを表現していかないと自分が消えて
しまいそうで、だけどそう簡単にはいかず、歳月ばかりが経ち…ここのところ、
自分の存在について考えながらジタバタしていた私に、ひょっこり鼻歌まじりに
(本当に歌ってくれたらいいんですけど)彼女が現れました。
何がしたいの?
特別な事?
そういうのは、人生のおまけやご褒美よ
生きてることに喜びなさい
それでまわりは十分に幸せで、あなたを認めるわ
って。
彼女と私が生まれる前に、私が一番強く彼女に障害児として
私と出会ってくれるように懇願したに違いありません。
そして、それを快く引き受けたちぃ−ちゃんすごい魂の持ち主に違いありません!
覚えたての「センセイ」という言葉を何かを伝えたい時しきりに使います。
発音もイマイチなので、とてもかわいらしいです。
■2通目です。
今日のちぃーちゃんを少しお話させてください。
午後、ちぃーちゃんは図書室にいました。
お気に入りの本は、一冊のイルカの本。
イルカが外国の自閉症の子供たちと遊んでいる様子の写真が
たくさん載っている本です。
少し驚きますよね。
イルカのセラピーはよく聞きますけど、
本を通して彼女は、何を感じてるのでしょうね。
私もイルカに会いたいな…と、忙しい仕事の合間に
一呼吸の時間をくれたちぃーちゃんでした。