■2003年11月1日
一ヶ月ぶりの更新となりました。
ライオン先生のレコーディングが思った以上に忙しかったのと、
道浪漫という過去にも二度ほど出演したことがある旅番組のロケに
出掛けていました。
今回はスペイン。
周りの友人は「いいなぁ、スペイン」を繰り返しますし、私も出発前までは
「やったー!!」という感じでしたが、やはりお仕事ですから大変です。
移動に次ぐ移動、長い待ち時間、寒くて強風の中の撮影、短い睡眠時間、etc.
途中で何でこんなところにいるんだろう、と弱音を吐くほどですが
個人的な旅では絶対に体験出来ないこと、出会えない人々、美しい風景など
いいこともあります。
だから旅関係のお仕事は大変だけれど楽しいのです。
今回はマドリッドからいろいろなところへ行きました。
詳しくは番組で見て頂きたいのですが、主にラマンチャ地方を中心に
旅してきました。
風車のある風景がとても綺麗でした。
この旅行に出掛ける前は自分のコンサートと、あとはずーっとライオン先生の
作曲とレコーディングの毎日。
最期のレコーディングが終わった次の日にスペインに出掛けるはずだったのですが、
終わったのが午前3時頃。
迎えの車が7時に来るはずなのでどんなに頑張ってパッキングしても間に合わない
事がわかったので、出発を一日ずらしました。
何とも綱渡りな毎日です。
でもそのおかげなのか、もうちょっとでもっと不幸だったのか、行きの飛行機は
オーバーブッキングでなんとファーストクラスになってしまいました。
すごい。
数年前にマイレージでファーストクラスにアップグレードしてもらったことは
ありますが、その当時はそれほどの装備はありませんでしたから...
今は、フルフラットなんですね〜。
スイスエアでしたけれど、それはそれは快適なフルフラットになる
ベッド付きのもので、食事用のテーブルは私が仕事部屋で使っている
アンティークの机より大きい。
参りました。
運賃が飛び抜けて高いはずです。
たった12席でしたけれど、そのファーストでさえ満席でした。
最近は海外旅行をする人が以前のように戻ってきたらしく、
帰国は一日マドリッドに延泊しなければならないほどでした。
私にとってはとってもラッキーなオフの日となり、午前中は16年前に
初めて一人で海外旅行をして見に来たピカソのゲルニカを見に美術館へ。
当時帰国してすぐに、ゲルニカという曲を作ったくらいです。
でも.....
なんだか印象が違いました。
16年前のゲルニカは防弾ガラス張りで側には拳銃を持っていそうな警備員がいて、
しかも私は画からは5メートル以上離れていたでしょうか。
でもそれはそれは力強く、繊細なタッチ、数色と思っていた色は微妙な
グラデーションがあり画そのものが重く静かに光っていました。
今は美術館が違いますがガラスは外され、警備員が立ってはいますが
2メートルくらい前までに近づくことが出来る。
でも、画はなんだか精細を失いどよんとした感じがあります。
画が疲れている感じがありました。
大きさも「あれ、こんなに小さかったっけ?」と思うほどこぢんまりしています。
私自身が疲れていたのでしょうか。
それとも美術館の照明が悪かったのでしょうか。
私は気を取り直そうと思って、他のピカソのデッサンなどを見回った後にもう一度、
画の前に立ちましたが同じでした。
でも同じでした。
16年前当時訪れたトレドの街も同じ印象でした。
もっと静かで人のいない街だと思っていたのが、今回久しぶりに訪ねてみて
ガサガサとうるさい普通の街でしか感じられません。
16年間という時間の中でその当時の印象が私の中で大きくふくらみすぎたのでしょうか。
私の中で大きな疑問となった一コマでした。
過去はやはり振り返ってはいけないものだろうか、と。
でも何度訪れても変わらない場所、何度会っても変わらない人は
たくさんいるのですが....
出発日を延ばした私でしたが、結局そのあまった一日も忙しく徹夜になってしまい、
ベッドに入れたのは迎えが来る2時間前でした。
ゆえにファーストクラスは私にとって本当にありがたいプレゼントでした。
行きはよいよいでしたが、帰りはいろいろありました。
こういうテレビ番組のロケの場合は、通常のチェロではなく値段の安いものを
持参します。フライトケースも持っているのでレコーディングのように
チェロ用の座席を隣に用意することなく、気軽にバゲージとして預けてしまいます。
そう、荷物受け取りの時にはベルトコンベアーでチェロがゴロンと流れてくるのです。
その風景だけはちょっと恥ずかしくて、いつも出てくるところの
一番前に陣取りますけれど...
成田に着いた時、私のチェロはロストバゲージになっていました。
マドリッドからチューリッヒ経由で成田だったのですが、撮影機材等すべての荷物が
無事着いた中、チェロだけがロンドンに行っていたそうです。
昔チェコでのレコーディングの時にパリでのトランジットの時に、
パリに置き忘れられたこともありました。
暑い夏以外でしたら、あまり心配はしていないのですが、それでもこの進んだ
コンピューター時代に何故間違いが起こるのでしょうか...
今年になって飛行機には本当についていません。
でも、ファーストクラスのアップグレードでおあいこかなぁ.....
先日のこと。
深夜3時頃帰宅したのですが、門灯が点いています。
これは深夜になると自動的に消灯され、人が通ると自動的に点灯されるものなので、
あぁイヤだなぁ、ドロボウらしき人が通ったのだろうか、とドキドキしながら
車を入れたのですが、車を降りた私の目の前にいたのはなんとアライグマ!!
しかもクルクルと鳴いてもう一匹を呼びます。
からだつきからして夫婦だったのでしょうか。
それほど人間を怖がることなく、でもチリチリと爪がアスファルトをつかむ
音をさせながら、何処かに消えていきました。
ふと目があった、時間にして5秒くらいでしょうか。
あまりにもびっくりして何がなんだかわかりませんでした。
私も本当に変な顔をしていたと思いますけれど...
最初は狸かと思いましたが、後で考えてみると白黒の顔をしていましたから...
あれ、レッサーパンダかなぁ...
しばらくは「狸がいた〜」と気の抜けた感じで反芻していました。
東京世田谷でも不思議な動物を見るものです。
後日談ですが、妹と話し合ったところやはり狸の可能性の方が高い、
ということになりました。
彼女も実家の近くで見かけたのと、ほとんど同じ顔をしていたとの
事でした。
狸の種類もいろいろあるのでしょうか?
クリスマスコンサートの詳細が決まりましたので、お知らせします。
12月25日木曜日 18:30開場 19:00開演
キリスト品川教会 グローリア・チャペル
全席指定 \7,350-(税込み)
チケット発売 11月15日土曜日 一般発売開始
お問い合わせ、チケット取扱い
キャピタルビレッジ 03-3478-9999
チケットぴあ 03-5237-9966(Pコード 158-385)
ローソンチケット 0570-06-3003(Lコード 33044)
イープラス http://eee.eplus.co.jp
私を含め、3人編成で演奏します。
教会ですので座席数がとても少ないです。
お早めにどうぞ。
また、11月7日のコンサートもことし最後のものとなります。
是非いらしてください。
11/7(金) 文京シビックホール 大ホール
18:30開場/19:00開演
問)03-5803-1107(文京シビックホール)