昨日もスタジオ、明日もスタジオ。
本来大好きな場所なんだけれど、それはちゃんと曲が出来て
楽器の練習がオッケーでアレンジも完璧な場合。
そうじゃないと地獄の空間となるわけ。(笑)
窓がなくて昼なのか日が暮れたのか雨が降っているのかまったく
わからない空間で、弾けないとかアレンジの直しをしていたりすると、
それはもう煮詰まりまくってアクも出ません….
20年くらい前は音楽の制作にはふんだんにお金を使えた時代で、
アレンジャー、プロデューサー、終いにはエンジニアまで遅刻するのが
ステイタスとなっていた時代もあったわけで、何だか滅茶苦茶でした。
13時スタートのレコーディングにだいたい2時間遅れで人が集まり、
そこからセッティングが始まり音が出るのは平気で夕方過ぎ。
それでドラムのキックの音とベースとのをあーだこーだと悩んで、
夜中になって今日はこれで終わりー!明日ねー!なんてこともザラでした。
ミュージシャンは不思議とあまり遅刻しませんでしたが、とにかく
時間にルーズでどんどんお金が消えていって….
でもそういう無駄な時間から出てきた「良い音」も確かにあって、
芸術は無駄の積み重ねかなと誤解しそうになります。(笑)
ヘッドアレンジなんて当たり前で、スタジオに入ってからどんな感じにしようか
と考えるわけで、時間が更にかかるわけです。
今でもある大御所はスタジオで曲を作る、という噂を聞きますが、
まぁ売れていれば何しようがいいのです。
時は変わって今ではプリプロは、ほとんど作曲家が自宅でするようになりました。
コンピューターを使えなければいけませんし、ある程度の機材
(今はソフトシンセサイザー音源のことをいいますね)が必要となります。
レコーディングにProToolsというコンピューターベースのレコーディング機材
を使いますが、これを自宅に持っているとスタジオでの作業が全て
家でも出来ることになります。
もちろん私も持っていますが、初期投資は大きいですよー。(笑)
でもこれさえあれば、世界中のスタジオに行ってもハードディスクひとつだけで
すぐにレコーディングが始められます。
言葉がわからなくともハードディスクひとつあれば、何とかなるのです。
新型インフルエンザが怖ければ、ネットでデータを送ってしまえばお終いです。
そう、マスタリングを久しぶりにロサンゼルスのバーニーグランドマンさんに
お願いするつもりでしたが、行けなくなってしまいました。
でもネットでデータをやりとりする「e-mastering」を初めて体験する予定です。
純然たるアレンジャーという職業がなくなりつつあるというか、全てが
曖昧になってきていて、今やレコード会社のディレクターがアレンジをして
コンピューターの打ち込みをしている人さえいます。
そういう私もチェロを弾き曲を書き、アレンジをして編集もしていますが….
そんなこんなで今では遅刻をする人がいません。
時は金なり、です。
スタート前に私はセッティングを始めたりします。
スタジオに持っていくレコーディングデータは、8割方完璧な形として
スコアとオーディオデータを作っていきます。
なので、打ち込みものはテンポを変えることが出来ないので、
すごく神経を使います。
20年前には全ての作業をスタジオでやっていました。
そう、スタジオがなければ何も出来ませんでしたが、今ではその仕事の
5割から7割くらいを自宅の仕事場でします。
良いのか悪いのか未だわかりませんが、終わりがなくなりました。
いくらやっても終わりません。(笑)
前にも書きましたが、ランニングハイならぬコンポーズハイです。
時代が変わって仕事の方法も大きく変わりましたが、作っているものは同じです。
ただ最近スタジオで仕事をしていると、ふとみんなの話題は20年前の
レコーディング風景を思い出したりしています。
今よりもう少し音楽そのものに携わっていることに、カリスマ性みたいな
ものがあって、ゆとりもあったなぁ、と。
他の職業、例えば作家の人でも昔とは違うのでしょうか….
万年筆で書く人ってもういないのかな….いや、まだいるでしょう、たぶんね….
